JOANR入力 完全ガイド
権限階層・バーコードアプリ・症例固定日・効率化アプローチ(2026年版)
JOANR(日本整形外科学会症例レジストリー/Japanese Orthopaedic Association National Registry)への入力は、整形外科専門医・指導医制度と直結しています。本ガイドはJOA公式マニュアル・FAQ・専攻医操作手順書・公式バーコードリーダーアプリ・年次報告書などの一次情報を横断し、2020年運用開始以降の運用実態と2026年4月の最新機能まで完全に整理します。
運営会社について:本サイト運営のSpecialist DoctorsはJOANR運営の一部を担当しており、公式バーコードリーダーアプリのサポート窓口(joanr_support@specialist-doctor.com)として登録されています。本ページは公式情報を一次資料として執筆しています。
JOANRとは何か
JOANR(Japanese Orthopaedic Association National Registry)は、日本整形外科学会(JOA)が運営する整形外科手術のナショナルレジストリです。2020年4月に本格運用が開始され、整形外科領域における医療の質向上、長期成績の追跡、インプラントの市販後監視(PMS)、レジストリベース研究の基盤として活用されています。
JOANRは独立した単一のシステムではなく、整形外科の各サブスペシャリティで先行していた個別レジストリを統合する形で運用されています。
JOANRに統合・連携している主なレジストリ
- JAR(Japanese Arthroplasty Register) — 人工関節レジストリ(TKA/THA/UKA)
- JSIS-DB(Japanese Spinal Instrumentation Surgery Database) — 脊椎インストゥルメンテーション手術データベース
- 関節鏡視下手術レジストリ
- 骨折手術関連レジストリ
研究計画書(v1.3)によれば、対象期間は2020年4月〜2030年3月に実施された整形外科手術全般です。
出典:JOANR公式 / JOA JOANR説明 / JSIS-DB×JOANR / JOANR研究計画書v1.3
JOANR 機能アップデート史
(2020〜2026)
公式トップの更新履歴・年次報告書から、主要なアップデートを年表化しました。
出典:JOANR公式トップ更新履歴 / JOANR Annual Report 2023 / PR TIMES(2020年運用開始)
ログインと権限階層
JOANRのログインは「施設の中の役割」によって操作範囲が変わります。最初のつまずきポイントは権限の理解とeラーニングの受講です。
① 医長
施設の責任者ポジション。施設メンバー(医師・データマネージャー)の登録権限を持ちます。専攻医がJOANRを使うには、まず医長による登録が前提です。公式マニュアルに「医長の登録」動画(3:27)が用意されています。
② 医師
症例入力・承認の中心。専攻医も「医師」として登録され、自身の症例をJOANRから整形外科専門医制度の研修実績にインポートします。公式に「医師登録」動画(4:07)あり。
③ データマネージャー
医局秘書・診療情報管理士などが担当。基本情報・インプラント情報・退院サマリからの転記入力を担います。公式に「データマネージャー登録」動画(1:49)あり。
eラーニング受講が前提
公式オンラインマニュアル全体(症例データ操作・施設メンバー管理)はeラーニング受講後に開放される仕組みです。新人専攻医・医局秘書は最初にeラーニングの完了が必要です。
出典:JOANR操作マニュアル / 専攻医用操作手順書
入力項目と
「時間がかかる箇所」
公式入力フォーム(survey_form_2022_v1.1.pdf)と運用ページから抽出した、実際に時間を要する項目を整理しました。
インプラント入力と
公式バーコードリーダーアプリ
JOANRはインプラント情報を効率的に入力するため、公式のスマホアプリを提供しています。
JOANRバーコードリーダーアプリ
Android/iOS版の公式アプリ。インプラント外箱のバーコードを読み取り、サーバーに情報を送信する設計です。マスターに製品が登録されていれば、メーカー名・製品名・サイズ・ロット番号などが自動的に紐付きます。
公式サポート:joanr_support@specialist-doctor.com
最新更新:2025年11月19日(2026年4月時点)
マスター未登録製品の場合
新規インプラントなどでマスターに製品が無い場合は手入力にフォールバックします。メーカー名・型番・ロット・サイズを1点ずつ入力する必要があります。新製品はマスター追加申請を並行して進めるのが現実的な運用です。
運用ポイント
器械出し看護師がインプラント開封時にアプリでバーコード読み取りを行うと、医師の入力負担を最小化できます。施設のインプラントマスター更新を定期的に行うことで、フォールバック手入力の頻度を下げられます。
入力効率化の
4つのアプローチ
JOANR入力の時間を短縮する代表的な4アプローチを、施設規模・症例数・既存システムによる適性から整理しました。
JOANR公式システム+バーコードアプリ
学会提供の標準入力環境。インプラントはバーコード読み取りで効率化
Web入力フォーム
JOANR公式のWeb入力フォーム。権限階層(医長・医師・データマネージャー)に応じて分担入力します。
バーコードリーダーアプリ
インプラント情報をバーコード読み取りで入力。マスター連動で再入力を最小化します。
手書き入力調査票(2026年4月追加)
2026年4月に追加された手書き入力調査票の機能。施設のワークフローに応じて活用できます。
医局秘書・診療情報管理士による集中処理
データマネージャー権限で組織的に入力
退院サマリからの集中転記
大学病院・大規模病院では、医局秘書や診療情報管理士が退院サマリ・手術記録からまとめて転記する運用が主流です。
医師の最終承認のみ依頼
データマネージャーが下書き入力し、医師は内容確認と承認に集中する役割分担で、医師の入力負担を軽減できます。
院内データのCSVエクスポート
電子カルテからCSVを取り出して取り込む運用
施設の手術台帳からCSV変換
2026年4月時点でJOANRと電子カルテの標準連携仕様は公表されていません。多くの施設で、院内の手術台帳・症例データベースをCSVに変換し、JOANRに取り込む運用が現実的です。
システム部門との連携が必要
CSVのフィールド整合性を確認するため、施設システム部門・電子カルテベンダーとの調整が前提となります。
音声AIによる口述項目の構造化
手術時間・術中合併症などの口述に向く項目に活用
カバーする項目
術式・アプローチ・手術時間(2026年4月から項目化)・出血量・術中合併症・術後早期転帰など、術者が口述しやすい項目が対象。手術記録の音声から構造化データを生成します。
カバーしない/併用する項目
インプラント情報は公式バーコードリーダーアプリ、患者基本情報は電子カルテ、病名は2026年4月追加の候補表示機能、と役割分担するのが現実的です。
代表的な国内ツール
医療特化の音声→構造化AIとして、ポケットICが搭載するSIMY(OEM)などがあります。医療AI比較もご参照ください。
専門医申請と
症例固定日のカレンダー
JOANRは年度ごとに「データ固定日」が設定されます。専門医・指導医申請を狙う場合、固定日からの逆算が運用設計の出発点です。
2024年度症例の固定日:2025年8月26日
JOANR公式の告知によれば、2024年度症例データは2025年8月26日に固定されました。この日以降、当該年度症例の編集はできなくなります。
承認は固定日のさらに前
固定日に間に合うためには、症例の入力→承認まで完了している必要があります。多くの施設では「固定日の1〜2ヶ月前」までに全症例の承認を済ませる運用です。
専門医申請への影響
整形外科専門医・人工関節指導医・脊椎脊髄外科専門医など、各種資格の症例実績はJOANR登録に基づきます。固定日までに承認されていない症例は、申請時の有効症例にカウントされない可能性があります。
最新の固定日を必ず確認
固定日は年度ごとに公式から告知されます。最新情報はJOANR公式トップでご確認ください。
JOANRとNCDの
重複入力問題
整形外科は基本JOANRですが、外傷・脊椎の一部はNCDにも入力が必要なケースがあります。両者の自動連携は2026年4月時点で標準提供されていません。
重複が発生する症例
整形外科手術の中でも、外傷・脊椎の一部、消化器外科や心臓血管外科と連携する複合手術などでは、施設裁量でNCDにも登録する運用があります。
NCDの重複登録防止機能
NCD側には同一症例の重複登録防止のため候補表示機能があります(NCD公式FAQ)。ただしJOANRとNCD間の自動連携は無く、症例ごとに2回別UIで入力する施設が多い実態です。
JSIS-DB×JOANRの連携
脊椎ドメインに限れば、JSIS-DBとJOANRの間に連携画面が存在します(jsisdb.org/joanr/)。脊椎以外でも同様の連携が広がることが期待されます。
電子カルテ連携の現状
2026年4月時点で、EMR(電子カルテ)とJOANRの標準連携仕様は公表されていません。大学病院・大規模病院ではCSVエクスポート+手動アップロード、またはデータマネージャー(医局秘書・診療情報管理士)が手入力する運用が主流です。
電子カルテベンダー側でJOANR直接連携を提供する公式リリースも、検索インデックス上で確認できる範囲では存在しません。各施設では次の3パターンのいずれかで運用されているケースが多く見られます:
- 院内手術台帳からのCSVエクスポート+JOANRへの一括アップロード
- データマネージャーが電子カルテ参照しながら手入力
- 電子カルテのテンプレート整備+データマネージャーによる転記
将来的には、電子カルテ連携/FHIR連携のような標準化が望まれる領域です。
JOANR入力で
よくある落とし穴
承認後の症例は再インポート不可
JOA公式の専攻医操作手順書によれば、承認された症例は同一症例として再インポートできません。施設・指導医の変更は可能ですが承認状態が解除されます。承認前のレビューを丁寧に行うことが重要です。
eラーニング未受講で操作画面が開かない
新人専攻医・新規データマネージャーの最初のつまずきが、eラーニング未受講のまま操作を始めようとすること。マニュアル全体はeラーニング完了後に開放されます。
マスター未登録の新インプラント
新製品はマスターに無い場合があり、フォールバック手入力が必要になります。並行してメーカー追加申請を進めることが推奨されます。
病名・術式コードの選択ミス
2026年4月の病名候補表示機能で改善が見込まれますが、ICD-10とJOA独自分類の二重選択は引き続き注意が必要です。
指導医・術者・助手の登録漏れ
専門医申請で経験症例として認められるには、術者・助手の役割を正しく登録する必要があります。承認後の修正は制限があるため、入力時に確認することが重要です。
JOANR・整形外科の
公式リソース集
JOANR入力に関連する一次情報源を一覧化しました。
JOANR 公式
運営母体。最新の更新履歴・固定日告知・マニュアルへの入口。
JOANR 操作マニュアル
権限別の操作動画・PDF。eラーニング受講後に全体が開放されます。
JOANR FAQ
公式によくある質問集。
JOA JOANR説明
日本整形外科学会によるJOANRの位置付け説明。
専攻医用操作手順書(PDF)
研修実績のJOANRからのインポート手順。専攻医必読。
JOANR Annual Report 2023
年次報告書。研究利用の事例も含む。
JOANRバーコードリーダー(Google Play)
公式バーコードリーダーアプリ。
JSIS-DB×JOANR連携
脊椎インストゥルメンテーション領域の連携画面。
日本人工関節学会(JAR報告書)
JAR(人工関節レジストリ)の年次報告書。
NCD FAQ 症例登録
NCDとの併用施設向け。
JOANRに関する
よくある質問
JOANRとは何ですか?
JOANR(Japanese Orthopaedic Association National Registry/日本整形外科学会症例レジストリー)は、日本整形外科学会(JOA)が運営する整形外科手術のナショナルレジストリです。2020年4月に本格運用が開始され、人工関節(JAR)・脊椎インストゥルメンテーション(JSIS-DB)・関節鏡視下手術などの個別レジストリを統合する形で運用されています。
JOANRにログインするにはどうすればいいですか?
JOANR公式サイト(joanr.org)からログインします。施設の医長・データマネージャーが各メンバー(医師・専攻医)を登録し、各自に発行されたID/パスワードでログインする流れです。専攻医の場合、所属施設の指導医・医長が登録手続きを行う必要があります。
インプラント情報の入力で公式アプリはありますか?
あります。JOANR公式の『JOANRバーコードリーダーアプリ』がGoogle Play/App Storeで配布されており、インプラント外箱のバーコードを読み取ってサーバへ情報を送信できます。マスターに該当製品が無い場合は手入力にフォールバックします。
2026年4月にJOANRでどんな機能が追加されましたか?
2026年4月2日にJOANR公式トップで『手術時間・麻酔時間機能の追加』『病名候補表示機能の追加』『手書き入力調査票の追加』が告知されています。手術時間・麻酔時間が項目化されたことで、手術記録からの転記項目が増えています。
専門医申請に向けた症例の入力期限はいつですか?
JOANRは年度ごとに症例データの『データ固定』が行われます。例として2024年度の症例データは2025年8月26日に固定されました。専門医・指導医申請を予定している場合、毎年8月までに該当年度の症例入力・承認を完了させる運用が現実的です。最新の固定日はJOANR公式でご確認ください。
承認後の症例は修正できますか?
JOA公式の専攻医操作手順書によれば、承認された症例は同一症例として再インポートできません。施設・指導医の変更は可能ですが承認状態が解除されます。承認前の症例レビューを丁寧に行うことが重要です。
JOANRとNCDの両方を入力する施設の効率化策は?
整形外科は基本的にJOANRですが、外傷・脊椎の一部はNCD側にも入力するケースがあります。両者の自動連携は2026年4月時点で標準提供されておらず、症例ごとに2回別UIで入力する施設が多い実態です。電子カルテからのCSVエクスポート+手動アップロード、または口述から両レジストリ用の構造化データを生成する音声AIの活用が検討されます。詳細はNCD入力ガイドもご参照ください。
電子カルテとJOANRは連携していますか?
2026年4月時点で、EMR(電子カルテ)とJOANRの標準連携仕様は公表されていません。大学病院・大規模病院ではCSVエクスポート+手動アップロード、またはデータマネージャー(医局秘書・診療情報管理士)が手入力する運用が主流です。
JOANRの権限にはどんな種類がありますか?
公式マニュアルによれば、施設メンバーの権限は『医長』『医師』『データマネージャー』に大別されます。医長が施設メンバーを登録し、医師・専攻医が症例入力、データマネージャーが基本情報・インプラント情報の入力を担当する役割分担が一般的です。各操作の詳細はeラーニング受講後に開放されます。
JOANR入力代行サービスはありますか?
公式の入力代行サービスは存在しませんが、施設内ではデータマネージャー(医局秘書・診療情報管理士)が代行入力する役割分担が一般的です。組織的には、データマネージャーによる下書き+医師の最終承認、というフローが多くの施設で採用されています。
音声AIによる口述項目の構造化に関心があれば
手術時間・術中合併症などの口述項目を構造化する音声AIとして、ポケットICが搭載するSIMY(OEM)があります。インプラント情報は公式バーコードリーダーアプリ、患者基本情報は電子カルテと役割分担します。
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